超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第10話 友坂という女】
ーーー放課後ーーー
友坂が俺の方に来た。
「ね。言ったでしょ。心配ないって。」
得意げにそう言い放つ。
「でもなんで、あんな説明で良かったんだ?」
俺はついさっきの出来事が不思議でたまらなかった。
「私は『あえて』知らないふりしてるけど、ゆきりんクラブってものがあるらしいわ。だから、私が何か言えば、なんでも思い通りになるってこと。」
「…え?」
俺はまたしても頭を抱えた。ファンクラブ???
「ちなみにファンクラブって、クラス内での話だよね…」
「いや、全学年らしいわ」
「嘘だろ…」
まだ入学して半年も経ってないのに!?
いや確かに、俺が友坂と話してるとき、妙に視線が来るとは思っていたが…
そういえば、いつかファミレスで友坂とコンセプトの話をした時も、同じ制服を着たグループにがん飛ばされてたような…
「なんでそんな人気なんだ。いたって、普通じゃないか。」
「私もよくわからないんだけど、なんか自分に都合がいいから考えないようにしてるわ」
と友坂は笑いながらそう返す。
…!?また視線を感じる。
「田所のやつ、ゆきりんと気安く話しやがって、自分の身の丈わかってんのか。」
「由紀子様、この前田所とファミレス行ってたらしいわよ。親衛隊がそういってたらしいわ。」
「親衛隊は何もしなかったの?」
…聞こえてるっつーの。
でも、確かに友坂の言う通り、友坂への人気なのか、信仰なのかはわからないが、
クラスメートを掌握する力があるということはわかった。
もし、彼女の言う通り、対象範囲が全学年なのであれば、
お化け屋敷のプレゼンも彼女が出た方がよかったのではないか…?
「あのさ、友坂さん。よかったらなんだけど、プレゼン当日も一緒にやらないか?」
「もちろん、そのつもりよ。田所君に任せて、万が一でも落選したら、私のコンセプトが水の泡になっちゃうでしょ!」
「はい、おっしゃる通りです。」
やっぱりこの女、敵に回すのはマズイな。
「あ、でも…」
友坂が曇った表情を浮かべた。
「でも?」
「でも、私の思い通りにしてくれるのは、あくまでも西高の生徒だけなのよね。どうしても、先生とかには効かないみたいなの。」
「まあ、あんな説明で教師陣が納得するなんて、思ってないけどな。」
「はあ?田所君もそっち側なのね。」
「そっち側ってなんだよ。」
「私の思い通りにならない側のことよ。とはいっても生徒で、そっち側についたのは田所君で2人目かな」
「…え、それって、俺以外にもう1人いるってこと?」
「確かではないんだけどね。1個上の先輩で『氷の女帝』の異名を持つ、新藤美琴(しんどう・みこと)先輩。この人もなびかなかったわ。」
「『氷の女帝』?ってどいうこと?」
「なんでそう呼ばれているか。私にはわからないわ。まあ、そんなことより、プレゼン。少なくとも、私だけの力じゃ無理だわ。」
「プレゼンなら、そここそ、俺に任せてよ。」
今度は俺が友坂に不敵な笑みを返してやった。
===To Be continuity===