超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第9話 アザトイ】
ーーー放課後ファミレスにてーーー
「で、感想。」
友坂はファミレスで席に着くなり、そう俺に言った。
「まあ、そんな慌てんなよ。何か頼む?」
「慌ててなんかないわ。飲み物だけでいい。」
「そ。じゃあドリンクバーにするかね。」
そう呟きながら、俺はテーブルの呼び出しボタンを押した。
「ドリンクバー2つで」
「かしこまりました。ドリンクバーはあちらにございます。」
店員に案内された場所でコーラを注ぎ、席につく。
「率直な感想で言うと、まぁ驚かされた。ストーリーはもちろんのこと、キャラクターがストーリーの背景ときちっと整合性が取れていて、違和感ないものだったし、何より既に教室でどんなことをやるか設計図、またそれを実現するための材料の案まで書き留めてるんだから驚いた。正直、高校生にしては大した企画力だと思った。」
「…高校生にしては?」
「あ、いや、こっちの話だから気にしないで。ただ…」
「ただ?」
「ただ、このコンセプトをクラスに説明して同意を取るのが難しい……なんせ、ここまで作り込まれているものを説明するのに、軽く見積もっても30分はかかりそう。これだと小野寺先生からもらった時間じゃ、とてもじゃないけど足りない。説明を端折ってしまえば、同意は得れない。端折ってでもクラスみんなが、それで行こうってなればいいんだけどなぁ…」
「それなら簡単よ」
「簡単か?」
「私がこのコンセプトを説明すればいいの」
「いや、どんなに友坂さんにプレゼン力があって時間内に上手く説明できたとしても、それで同意取れるかは別問題だろ。」
「あら?田所君知らないの?それとも忘れちゃったかしら?」
「なにが?」
「ふふふ…まあいいわ。とにかくクラスへの説明は任せて。」
友坂はそう不敵な笑みを浮かべながら言った。
俺はどこからそんな自信が湧いてくるのか、不思議に思いながらコーラを飲み干す。
ーーーある日の5時限目(数学)ーーー
「…以上で章末問題の解説を終わりにして、田所君にあとは任せます。」
「小野寺先生ありがとうございます。」
俺は教壇へと足を運び、またプリントを配る。内容は友坂のコンセプトを要約したものである。
「えーっと、今回はお化け屋敷を希望するにあたり、どんなお化け屋敷にするのか案が欲しいと僕の例をもって募集かけました。たくさん、いただいた案を今お配りしたプリントにまとめてみました。案を提供してくださった方に、どういう想いや意図でこの案にしたか聞いたうえで、みんなの合意を取ろうと思います。それでは友坂さんお願いします。」
俺が友坂の名を口にした途端、クラスがざわつき始めた。
「なんで、ゆきりんなんだ…」
「由紀子様が田所と協力してるなんて…」
そんな声にかかわらず、友坂は悠々と教壇に上る。
「みんな、今回プリントにあるコンセプトを提案したのは私です。どうかな、一生懸命考えたんだけど。みんなこのコンセプトでやってくれるかな?」
この前のファミレスで見せた姿とは打って変わり、友坂は健気に頑張る優等生を演じだした。というより、コンセプトの説明何一つしてない…
俺は頭を抱えてしまった…
「と、と、友坂さんが一生懸命考えてくれたやつなら、きっとうまくいくよ。やろう。」
「そうよ、由紀子様の考えたコンセプトなら、絶対面白いに決まってるわ。」
「このコンセプトよく読んでみたら、しっかり作りこまれてる。さすが友坂さんね。」
…嘘だろ、あんなプレゼンでクラスがまとまるなんて。
そうこうしているうちに友坂案のコンセプトで確定となった。
というより、予定していた時間を5分以上残して…
この女、恐るべし…
===To Be continuity===