超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第8話 やまとなでしこの裏の顔】
ーーーある日の登校時ーーー
「…あの田所君、ちょっと良い?」
髪の長い、いかにも真面目って感じの女子が声をかけてきた。それもそのはず、彼女はクラスメイトであり、保健委員を務める友坂由紀子(ともさか・ゆきこ)である。
彼女の持つやまとなでしこ的上品さに心奪われ、陰で「ゆきりん」と呼ぶクラスメイトもいる。
「友坂さん、どうしたんですか。」
「この前もらったプリント。」
「ああ、お化け屋敷のコンセプトのやつですか。」
「読ませてもらって、私も考えたんだけど。これどうかな。」
友坂はそう言い、一冊のノートを手渡した。
「これは…」
「私、昔から遊園地が大好きで、毎週家族と出かけてたの。そしたら、自分だったらこんな設定にするのに、こんなキャラクターいたらいいのにって、ずっと思ってたの。」
「…なるほど。それを具現化するチャンスが来たってことね。」
「そう!ぜひ感想聞かせてほしいな。」
「俺の感想いるのかな?あくまでも案として受け取っておくよ。」
「いや、それじゃダメなの。」
「え?それじゃダメってどういうことなの」
「あなたのプリントに書かれてたコンセプト案のすべてを読んだわ。そして驚かされた、代表者に選ばれてから、あんな短期間であの数の案。そしてそのどれもが、ストーリー、キャラクターがきちんと設定されていたわ。私がこのノートに書き溜めたようにね!」
「あーあれは、たまたまだよ。たまたま読んでた本を参考にしたまでよ。」
「たまたまですって、いやどちらにせよあなたのせいで、私の心に火が付いたの。あなたに認めてもらうコンセプトを考えたいって。だから、あなたの感想が必要なの!」
ものすごい剣幕で友坂が詰め寄る。
「わかった、わかったから、休み時間とかに確認するよ。じゃあ。」
あの友坂がここまで熱量持って接してくるとは…
あまりの勢いに押され、俺は根負けし、感想を述べると約束してしまった。
ーーー4時間目(化学)ーーー
…化学ねぇ…現役時代にゴロ合わせいっぱい覚えてしまったせいで、このレベルなら、まだ真剣に授業聞かなくても大体いけるな…
てか、退屈だな…
あ、そういえば友坂から借りたノートでも確認してみるか。昼休みまでに確認しとかないと怒られるだろうし………
ノートなら、サボってんのバレないだろうしな。
…!!
ーーー昼休みーーー
「友坂さん、これありがとう。」
俺はそう言い、友坂に借りたノートを返した。
「…うそ、田所のやつ、友坂さんと話してる。」
「え…ゆきりん様と??」
俺の一つ一つの行動にざわつくクラスメートを後目に、友坂は俺に向かって一言
「早速だけど、感想を聞かせて?」
「ああ…よかったよ。」
「どこが?どの辺が?キャラクター?設定??」
「…あぁ、全部良かったよ。あのしっかりディテールも凝ってて。」
「もっと細かく!具体的に!感想聞かせて?」
友坂が声を大きくし、俺に詰め寄る。
クラスメイトの視線も痛いし、何より友坂のこの熱量が怖い。
一旦、場所を移そう、ちゃんと整理して話すからと俺は友坂に、
放課後に近くのファミレスで話をするよう持ち掛けた。
「わかったわ。適当な感想なんて述べたら、ぶっ飛ばすから。」
普段の友坂から想像できない言葉が飛んできた。
…さぁって、なんて説明しようかね…
===To Be continuity===