超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第2話 転生なのか!?】
「田所さん、検温のお時間です。」
そう看護師に言われ、差し出された体温計をわきの下に入れ、
今までのことを振り返る。
昨日までは会社員として働いていたのに、どういうわけかこの高校生「田所正光」になっていた。これってもしかして、今話題の「転生」!?
いや、せめて異世界にしてほしかった。
日付見たら社会人だったころの1週間後に転生って、早すぎない?
世間の情勢も変わってないし、すぐ戻りすぎなのでは??
とはいえ、転生したものはしょうがない。抱えていたタスクもなくなったわけだし、
のんびりベッドの上で過ごそうかね。昨夜は疲れたし…
ーーー昨夜午後7時(転生2時間後)ーーー
「正光っ!!」
と勢いよく、50代前半ぐらいの夫婦らしき男女がこの部屋に入ってきた。
「田所さん、ここは病院です。お気持ちはわかりますが、もう少し静かにしてください。」と先生がその男女に注意した。
…もしかして、この子の両親か?
「正光、良かった!目覚まして!」
大粒の涙を流す、この女性はやはりこの田所正光の母である。田所優子。
隣で安堵の表情を浮かべ、こちらの様子を伺っているのが父、田所浩である。
これらの情報はこの1時間後に知ることになるのだが。
「田所さん、ホントに良かったですね。」
と看護師さんまで、うっすら涙ぐんできた…
…マズイ、非常にマズイ。この感動的なムードをぶち壊しかねない状況に今、立たされている。社会の歯車として今まで生きてきたこの俺に!
下げたくない頭をたくさんしてきた俺なのに!
経験したことのない気まずさが来るなんて…
お二人には申し訳ないが、致し方ない。
「…あ、あの……私、目覚ましてから今までの記憶が一切ないみたいで…自分の名前とか年齢とかも…」
周りの人たちの愕然とした表情は、言葉に表せないなんとも言えない表情だった。
優子はまた大粒の涙を流し、浩は優子の肩をさすりながら
「記憶なんてまた作れば良いじゃないか。生きてるだけまだマシだ。」と励ます。
いや…ほんとスミマセン。
そして、俺は優子と浩に「田所正光」について聞いた。
生年月日から出生地、どんな子だったのか。
そして、なぜこの病室に運ばれてきたのかを。
===To Be continuity===