超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第5話 洗礼】
「えー5時限目は、来月末に開催予定となっている文化祭の出し物を考えてる時間にします。では、この後の進行はクラスの文化祭委員の2人、山本と西田に任せる。」
小野寺先生はそう言って、教室を後にした。
「では、1-4の出し物について、決めていきたいと思います。出し物を決めるにあたって、注意事項のプリントもらったので、みんなに配ります。」
そうハキハキとした喋りと司会進行をするのは、このクラスで身長が一番高い山本司(やまもと・つかさ)だ。高身長だからバスケ部やバレー部に所属するかと思いきや登山部に入部したときは校内でざわついたという。
本人曰く幼少期から家族で登山に出掛けていた経験から入部したとのこと。
まあ、登山で鍛えられた肺活量なのか、良い声がよく通る。
それに対し、隣で明らかにダルそうにしているのが、もう一人の文化祭委員の西田アリス(にしだ・ありす)である。つい最近、手入れしたばっかの爪を見ながら立っている。
山本が配布したプリントもとに文化祭の出し物に関する注意事項を説明する。
注意事項の内容はこうだ。
≪注意事項≫
・文化祭でクラスで出店できるのは以下の3種類の限りとする。
①飲食店(調理含む)、②お化け屋敷、③模擬店(①②を除く内容)
・①②の出店には、各学年1クラスまでとする。
・①②の出店の候補が同学年で複数クラス上がった場合は、プレゼンテーションを実施し、安全性、独自性を含め、全文化祭委員が総合的に判断し、決定する。
・プレゼンテーションの発表者は文化祭委員以外の代表者とする。
・①のみ金銭のやり取りが可能。②③は金銭のやり取りは禁止とする。
・各クラスの予算は5万円までとする。
山本の説明が終わる間もなく、クラスはざわつきだした。
飲食店やお化け屋敷の出店に制限があるということだ。まあこの制限は、理にかなっている。この制限がなければ、全てクラスがお化け屋敷の出店をするカオスな状態が生まれかねないからだ。
「まあ出店に上限があるのは、置いといて3種類のうちどれがいいか、多数決をとります。それじゃ飲食がいい人……」
クラス内で多数決が始まった。クラスメイトは各々自分がやりたいものに手を挙げる。
その結果、お化け屋敷がクラスの希望するものとなった。
「…はい。みんなありがとうございます。うちのクラスでは、お化け屋敷を第一希望として決まりました。おそらく、プレゼンテーションになるかと思うので、今のうち発表者決めたいと思います。誰かやれる人いますか。」
山本が声をかけた。しかし、そんな重荷を誰も背負いたくはない。手を挙げるものは誰もいなかった。
すると、どこからか小声で
「…田所でよくね。」
「ああ…田所なら失敗しても責めやすいもんな…」
「田所?…正気かよ。落とす気かよ。」
「この前の挨拶やばかったんじゃん。あれならワンチャンいけるんじゃね。」
声の主はわからないが、明らかに俺に田所正光になすりつけようとしている。
クラスの視線が俺に集まる…
…はあ、やるか。
俺はすっと右手を挙げた。
「俺、やろっか?」
===To Be continuity===