超合理的高校生の3年間 -社会の歯車が高校生に転生!?-
【第7話 用意周到】
「小野寺先生、今お時間大丈夫ですか。」
「はい、大丈夫ですよ。田所君。」
「文化祭の出し物についてなんですけど、企画書作成しないといけなくて、『コンセプト』をどうしようかなって。これクラスで意見出し合いたいんですけど、お時間とかってどこかで取れたりしますかね。」
と俺は小野寺先生に何とか時間作ってもらえないか打診した。
「田所君、私の数学の時間を少し使うことができなくもないが、そこで決めきるのは難しいと思いますよ。」
「ちなみに何分程度、いただけますか。」
「そうですね、多く見積もって15分ってとこですかね。少なくとも30分は数学の授業はしないとね。他のクラスと比べて特別進んでるってわけでもないですからね。」
「わかりました。15分で十分です。その15分頂戴してもいいですか。」
「え、ああ…15分でいいなら…いいですけど。」
「ありがとうございます。」
そういうと俺は職員室を後にした。
ーーー数日後の帰りのHRーーー
「すいません、あのちょっといいですか。」
そう俺はクラスに向け、声を挙げた。
クラスメイトがこちらを向く。
俺はクラスメイト全員分のプリントを持ち、その場に立った。
「えっと、今度の文化祭でお化け屋敷を希望として挙げてますが、どんなお化け屋敷にしたいかっていうコンセプトを考えないといけないということで、今日ここに僕の方で何個か案持ってきたのを印刷しました。申し訳ないけど、プリント配ってもらえるかな…」
そう俺は持っていたプリントを隣の岡崎に渡した。
岡崎はクラスの全員にプリントを配った。受けとったクラスメイトはややざわつきながらも俺の作成したプリントに目を通していた。
「まあ、あくまでもコンセプトの一案です。必ずしもこの中から選んで下さいというわけではなく、こんな感じの良いっていうアドバイスとかあったら、全然案として提供してもらえると助かります。で、コンセプトの確定は今日やりません。後日、小野寺先生の授業の時に時間を取ってくれるみたいなので、その時に確定したいと思います。よろしくお願いいたします。」
と俺はクラスに頭を下げた。
「…田所が頭下げたとこ初めて見た。」
クラスの一人がそうつぶやいた。
…え?正光、どういう性格してた??
ーーー放課後ーーー
通学かばんを背負おうとしたとき、後ろから
「やるじゃん、ミッツ」
岡崎がどこで付けたかわからないあだ名で俺を誉めた。
「岡崎さん、ありがと。ごめんね、急にプリント配布手伝わせて。」
「いいってことよ、それよりミッツ。あんた髪型だけじゃなくて雰囲気もホントに変わったよね。」
「そうなのかな…いかんせん、前の僕がどういう感じの人間だったかも覚えてないからな…」
「でもなんか、今のミッツいい感じ!」
「てかさ、『ミッツ』ってなに?どこからそうなった?」
「正光の『みつ』からとってみた。かわいくない?」
そう岡崎が顔をのぞかせながら聞いてきた。
「まあ確かに、言われてみれば…」
徐々にではあるが、このクラスにもなじめてきた気がする。
そんな風に思えたまだ暑さの厳しい9月だった。
===To Be continuity===